岩村公史KIMIHITO IWAMURA — OFFICIAL
統率 ── 規模別の指揮官論

規模が変わると、統率は変わる。

中隊、連隊、師団。人数が十倍になるたび、指揮官の仕事は別のものになる。顔が見える距離で通じたやり方は、千人には届かない。一万人になれば、自分の言葉を部下が同じように言えるかが、すべてになる。その三つを、すべて自分でやった者として伝える。

百数十人中隊長
千人連隊長
一万人師団長
WHY

経営者が抱えている問い

「指示が、現場に届かない。」
「厳しくすると、人が辞める。」
その答えは、会社の規模の中にある。

十人の会社で効いたやり方が、百人になった途端に効かなくなる。社長の声が直接届いていたうちは、気合で動いた。届かなくなった瞬間に、組織は止まる。これは経営者の力量の問題ではない。規模が変わったのに、統率の形を変えていないだけである。

自衛隊は、この問題を制度として解いてきた組織である。百数十人の中隊、千人の連隊、一万人の師団。それぞれに指揮官がいて、それぞれに別の統率がある。

岩村さんの言葉で:企業経営者から実際に受けた相談のうち、「規模の問題」だったものを一つ。/自衛隊で「規模が変わると統率が変わる」と初めて痛感した瞬間。
THREE SCALES

三つの規模、三つの統率

SCALE 01 ── 百数十人

顔が見える統率第1空挺団 普通科群 第3中隊長(1998)

全員の名前と家族構成を知っている。誰が今日調子が悪いかが分かる。この規模の統率は、指揮官の人間性がそのまま部隊の空気になる。だから一番やりがいがあり、一番危ない。指揮官が疲れれば、部隊も疲れる。

軍で中隊長は「背中で見せる」。訓練の先頭に立ち、同じ飯を食う。
会社で創業期〜社員数十人。社長が全員を見ている段階。
中隊長時代に「顔が見えるからこそ」できたこと、逆に「顔が見えるから」失敗したこと。八甲田の雪中行軍(鼻の凍傷)の話はここに置けるか。
SCALE 02 ── 千人

届かない声を、届かせる統率第12普通科連隊長(2008)

千人になると、指揮官の声は末端に届かない。間に中隊長がいて、小隊長がいて、班長がいる。ここで初めて「自分が何を言うか」より「部下が何を言うか」が問題になる。方針を短い言葉にして、繰り返し、同じ言葉で言わせる。

軍で連隊長は「言葉を定める」。訓示・方針・基準を文字にして、幹部に持たせる。
会社で社員百人〜数百人。部長・課長を通してしか現場に届かない段階。
連隊長になって最初に困ったこと。自分の言葉が届いていないと気づいた場面。それをどう直したか。
SCALE 03 ── 一万人

自分がいなくても動く統率第9師団長(2018)/第1空挺団長(2013)

一万人になると、指揮官は現場を見られない。見られないものを動かすには、自分と同じ判断を、自分がいない場所で部下ができるようにするしかない。何を大事にし、何を捨てるか。その順序を、組織の全員が同じ順序で言えるか。統率は、ここで「文化」になる。

軍で師団長は「判断の基準を共有する」。自分の判断を説明し続け、同じ判断ができる幹部を育てる。
会社で多拠点・多部門。社長の判断を待っていては間に合わない段階。
師団長として「部下が自分と同じことを言えるか」をどう確かめたか。東日本大震災の派遣起案(方面総監部)で、不在の上官の判断をどう代行したか。
PRINCIPLE

日本刀のような組織

例えるならば、日本刀のような部隊を作りたい。産経新聞 2014年10月13日 千葉版「郷土の守り」── 第1空挺団長在任時のインタビューより

日本刀は、硬い鉄と柔らかい鉄を何枚も折り重ねて作る。硬さだけなら折れる。柔らかさだけなら曲がる。両方を重ねて、初めてしなやかで強靱な刃になる。

部隊で言えば、硬さは厳しい訓練で鍛えた強靱さ。柔らかさは隊員一人ひとりの幸せと、家族への支え。厳しさと配慮は対立しない。重ねるものである。「厳しくすると人が辞める」の答えは、ここにある。

もう一つ。落下傘で降りるから精強なのではない。即応するから精強である。能力があるから強いのではなく、動けるから強い。

「硬さ」と「柔らかさ」を、それぞれ具体的に何をしたかで語る(訓練の厳しさの実例/家族支援・隊員の幸せのために実際にやったこと)。
式典で壇上に立つ岩村公史
観閲式にて ── 写真提供:岩村公史
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講演・幹部研修

規模別の統率を、実話で。経営者・役員向け60〜120分。幹部研修では自社の規模に当てはめて議論する。

構想中

規模の診断

御社はいま「中隊」か「連隊」か「師団」か。統率の形が規模に合っているかを、幹部への聞き取りで見立てる。(内容・形式はZoomで詰める)

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